学会長挨拶

第58回日本口腔衛生学会総会・学術大会
「健康格差を考える」

ご挨拶

私議

磯﨑 篤則(朝日大学歯学部社会口腔保健学分野 教授) 2008年には、アメリカのサブプライム問題から世界経済が100年に1度の危機を迎え、日本においても非正規労働者の解雇、新入社員の内定取り消しなどのニュースを多く耳にするようになりました。これにより所得の格差は広がり、社会格差は現代の大きな問題となっております。また、所得の減少は、国民健康保険料が支払えない低所得者層の増加や、医療の受診抑制につながり、健康にも格差が生じています。1980年代のわが国は、1億総中流の時代といわれ、ほとんどの人が自分は中流という意識を持っていましたが、その概念は崩壊しました。Goldbergは、健康格差は「疾病の発生頻度の格差」「医療へのアクセスの格差」「医療の質の格差」の3領域から生じると述べています。今後わが国では、健康格差対策を公衆衛生政策にとして推進していくことが課題になっています。
 第58回日本口腔衛生学会は、メインテーマを「健康格差を考える」として開催いたします。国民の健康寿命の延伸と生活の質(QOL)の向上を口腔の健康から支える学会員にとって、社会的要因と健康の疫学的アプローチにより、口腔保健の立場から健康格差を考えることが急務と考えました。そこで、特別講演に日本福祉大学教授 近藤克則先生をお迎えして「健康の社会的決定要因―社会疫学の視点から」について教育講演をいただきます。さらに、東京大学教授 神馬征峰先生にはこれからの健康づくりを考える上で重要な「国際的視野にたった格差解消のための学校保健アプローチ」について講演をいただきます。シンポジウムは、「口腔疾患の健康格差」「フッ化物応用の地域格差、国際格差」「口腔保健格差改善を目指した国際歯科保健活動の取組み」という3つのテーマで討論を進めて行きたいと考えています。
 市民公開講座は成人の80%以上が罹患し、生活習慣病と関連の深い歯周病についての講演を予定しております。なるべく多くの皆様に参加していただけるように、スケジュールが重なり合うことが無いよう配慮しました。わずかな期間ですが、多くの皆様と有意義な時間が過ごせることを願っております。
 国際会議場は、JR岐阜駅から少し離れていますが、金華山山頂の岐阜城を背景に、鵜飼で知られる清流長良川のほとりに立地しています。近くには温泉もあり、この風光明媚な岐阜の地でお会いできることを楽しみにしております。

第58回日本口腔衛生学会・総会

朝日大学歯学部口腔感染医療学講座社会口腔保健学分野 教授